Concept & Story
庭と家は、ひとつの暮らし
施主様(30代ご夫婦+お子様2名)の「子どもたちが庭と家を自由に行き来できる家」というご要望から、設計がスタートしました。平屋という形式が最もこの夢に近いと判断し、室内外の段差をゼロにした「全館バリアフリー」設計を徹底しました。
南側18㎡のウッドデッキテラスはLDKと同じ目線の高さに設定し、引き戸を全開にすると室内とデッキが一体化。「家族が自然の中で育つ」環境を、空間設計で実現しました。
38坪
延床面積125㎡。木造軸組の平屋建て、ワンフロアにまとめています。
18㎡
南側ウッドデッキテラスの広さ。LDKと同じ高さに床を合わせました。
0mm
玄関から庭までの段差。室内外を通してフラットに納めています。
7か月
施工期間。三和土の土間と無垢材の造作に時間を確保しました。
Garden & Exterior
建物と庭は、ひとつの作品
障子と庭
障子を引くと、庭がそのまま部屋の一部になる
南面の建具は、外側にガラス戸、内側に障子という二重の構えにしました。障子を閉じれば庭の光だけがやわらかく入り、引き開ければ庭がそのまま座敷の続きになります。閉じる・開けるの中間をつくれることが、この家でいちばん贅沢な部分です。ページ上部の写真は、障子を引いて庭のヤマモミジを切り取った状態です。
落葉樹設計:ヤマモミジ
夏は日を遮り、冬は日を通す一本
庭の主木はヤマモミジ。夏は葉が茂って日差しを遮る天然のシェードになり、秋は写真のように色を変え、冬は葉を落として枝越しの光を室内へ入れます。四季の変化そのものを設計に組み込みました。足元には大谷石のアプローチと在来の下草を合わせています。
Space & Floor Plan
段差ゼロで、庭とつながる暮らし
玄関から庭まで一切の段差をなくしたフラット設計です。将来の高齢化にも対応しつつ、室内外を自由に行き来できる「段差ゼロの暮らし」を実現しました。玄関内には2.5㎡の土間スペースを設け、自転車・アウトドア用品の保管に対応。伝統的な「三和土(たたき)」仕上げで、経年変化が美しい空間に育ちます。
LDKの隣には畳の間を設けました。障子を通したやわらかな光が畳の目に落ち、来客の応接にも、子どもの昼寝にも使える一室です。床の間は掛物と花を季節で入れ替えられるよう、棚も地板も造り込まずに残しました。
畳の間
障子越しの光が、畳の目の上を一日かけて動く
畳の縁は無地の縹(はなだ)色を選び、目線を落としたときに縁の線だけが静かに残るようにしました。直射日光を入れないぶん、時間帯によって畳の色が変わっていくのがよく見えます。朝は白く、夕方は蜜のような色になります。
Craft & Construction
土の仕事と木の仕事、職人の連携
玄関土間の三和土は、消石灰・砂・にがりを現場で調合し、職人が手作業で叩き締める伝統左官工法です。乾燥後は硬化し、適度な吸湿性が玄関の湿度を調整します。現代ではこの技術を持つ職人が希少になっており、和彩堂ハウスが厳選した熟練職人が担当しました。
縁側と回廊には国産スギの無垢材を用いています。一枚ずつ木目と反りを見極めて張り込み、経年で味わいを増す無垢材ならではの表情を活かしました。障子越しのやわらかな光と庭の緑を取り込む縁側は、家の内と外をゆるやかにつなぐ大切な空間です。
2.5㎡
玄関土間の面積。自転車とアウトドア用品をそのまま置ける広さです。
3種
三和土に混ぜた材料。消石灰・砂・にがりを現場で調合しています。
28mm
国産スギ無垢フローリングの厚み。外壁も同じスギの縦羽目板張りです。
30年
イペ材デッキの想定耐久年数。塗り直しなしで使い続けられます。
Specification
施工仕様
| 延床面積 | 約38坪(125㎡)+テラス18㎡ |
|---|---|
| 構造 | 木造軸組工法 平屋建て |
| 外壁 | 国産スギ 縦羽目板張り(オスモカラー仕上げ) |
| 床材 | 国産スギ 無垢フローリング 厚28mm |
| テラス | イペ材 ウッドデッキ 厚30mm(18㎡) |
| 土間 | 三和土(伝統左官・消石灰+砂+にがり) |
| 外構 | 大谷石アプローチ + ヤマモミジ(シンボルツリー)+ 在来植栽 |
| 施工期間 | 約7ヶ月 |


