Concept & Story
80年の記憶を残し、新しい暮らしを刻む
築80年の古民家を所有するN様ご夫婦(60代・お子様独立)は、「建て替えではなく、祖父母の記憶を残したい」という思いをお持ちでした。和彩堂ハウスは構造診断を実施し、「残せる部分は残し、変えるべきは変える」という方針でリノベーションを提案しました。
構造補強により耐震性能を高め、断熱もしっかりと改修。伝統的な梁・柱はそのまま活かし、水回り・間取りを現代の暮らしに合わせて全面刷新しました。「古いけれど新しい、記憶と未来が共存する家」が完成しました。
Material & Restoration
受け継ぐ木材、新たに加える素材
既存柱・梁の再生
(ケヤキ材80年)
80年前のケヤキ材は、時を経て深い飴色に変化しています。表面を研磨し、自然塗料で再塗装することで、力強い木目と質感を蘇らせました。
新設ヒノキフローリング
(無垢30mm厚)
既存材と調和する無垢ヒノキフローリング(30mm厚)を新設。古材と新材が共存し、経年変化を楽しめる床となりました。
壁の塗り直し・左官仕上げ
(職人の手仕事)
既存の壁を下地から補修し、塗り壁で仕上げ直し。職人が一面ずつ鏝で仕上げることで、呼吸する壁として調湿・消臭の効果を発揮します。
Space & Floor Plan
昔ながらの間取りを、現代の動線に再構成
古民家の間取りは、田の字に区切られた部屋が廊下でつながる形でした。構造上残す必要のない間仕切りを整理し、明るく開放的なリビング・ダイニングへ再構成しています。床暖房を備え、古民家の弱点だった冬の寒さも解消しました。
キッチンは古民家の雰囲気を壊さないよう、木の質感を活かした対面式を採用。IHクッキングヒーター・食洗機など現代の設備を収めながら、面材は既存の柱の色に合わせて選びました。天板の向こうにリビング全体を見渡せる配置で、家族との会話も弾みます。
4か所
取り払った間仕切りの数。構造診断で残す必要がないと確認できた壁だけを外しました。
24帖
一続きにしたLDKの広さ。梁を見上げながら過ごせる、この家の中心です。
2.4m
対面キッチンの天板の長さ。二人で並んで立てる幅を確保しています。
0mm
玄関から水回りまでの段差。古民家に多い敷居の立ち上がりをなくしました。
和室・居室
障子と畳を残した続き間
元々和室だった部屋は、障子と畳を残しながらLDKへと続く続き間へ。奥のリビング・ダイニングと緩やかにつながり、来客時は建具を閉めて個室としても使えます。和の風情を大切に保っています。
水回り
バリアフリー対応の明るい浴室
将来を見据えてバリアフリー設計。浴室はゆとりある広さで、手すり・浴室暖房を備え、ヒートショック対策も万全です。窓を大きく取って昼は照明がいらないほど明るく、滑りにくい床材を選定して安全性と快適性を両立しました。
Craft & Construction
耐震補強と断熱改修、見えない部分こそ丁寧に
構造補強
構造用合板による耐震補強
構造診断の結果、柱・梁は十分な強度がありましたが、現代の耐震基準を満たすため構造用合板を追加。長く安心して住み継げる家になりました。基礎も補強し、鉄筋コンクリートを増し打ちしています。
断熱改修
断熱材の充填と窓の交換
天井・壁・床下に高性能断熱材を充填。古民家特有の「夏は暑く冬は寒い」問題を解消し、年間を通じて快適な室温を実現しました。窓も既存の木製サッシから樹脂サッシ(Low-E複層ガラス)に交換し、断熱性能を大幅に向上させています。


